もみあげ
先週の金曜の夜から、車でインターン先の職員の田舎へ行ってきた。
夜12時(9時出発と言われてこの時間になったのはもちろん笑)に出発して車で約10時間。
アチェ州のほぼ一番西から一番北東へ移動した感じ。
そこはもうアマゾンとまでは言わなくとも鬱蒼とヤシの木やら熱帯雨林にありがちな木々が生い茂っている。
職場の友人の彼女は8人兄弟でそのうち7人は女。
すでに私の友人以外は結婚しており、小さな子供からおばあちゃんまでもう家の中はグチャグチャ状態。
「子供は多いほうが楽しい」というのが、ここでは共通理解のようだ。
聞けば職場にいる他の職員の方々も皆、6人~10人ほどの兄弟で、まさにマンパワー大国インドネシアを感じた。
今回は26日のイムレックの休日を利用した3連休で皆集まっていて、話によると2ヶ月前に生まれた赤ちゃんのイスラムチックな儀式のためらしい。
名前も地元のイマームからつけてもらう。
主にしたこと、思ったことは以下。
-ヤギの屠殺初鑑賞
-家族のカオスすぎる生活に慣れることができず神経衰弱、寝まくる。
-近くの川で裸で群れる地もとっ子とじゃれる。
-ロープを使った手漕ぎ渡し舟(車も一台運搬可能)に出会う。ウケる。
-おじさんちで衛星中継でNHKを観る。日本は平和だと知る。
-NARUTOが子供に大人気!が、しんちゃん同様、親には不人気。
-睡眠→食事の繰り返し。飯のほぼ全てが辛い。救いは米だけ。
-郡長が親戚で来ていて話す。喋りがうまくて感動。政治家とセールスマンは紙一重だと感じる。
-村人にお前髪を切れと言われ、勢いで村人に散髪してもらう。もみあげがなくなる。笑
-村は「コミュニティ」といわれるのものがまだ生きていると感じた。皆友達!
-帰りにお腹を壊す。土石流のようなものをだす。
-村はまだ井戸水を使う。マンディのための水がなくてうんこが流せず焦る。
-飲み水は井戸水を沸騰させて飲む。
-モスクは道中のトイレとしての機能も併せ持つ。お世話になり、ちょっと感謝している。
-インドネシア人の運転技術は日本人の及ぶものではない。彼らはミリ単位で運転する。
-道中何度も死ぬかと思った。一車線の一本道を時速100キロでぶっ飛ばすともはやジェットコースターなど子供のお遊びに思える。
-車のサーチライトやウインカーには色々な用法がある。
-やっぱり自分は現代人だと実感する。
-日本の威力を知る。
-文化や個々人の性格の違いなど違いはあげればきりがないけど、根本的な人間としての共通点も多いことを感じる。
-インドネシアの言葉の豊富さにもはや驚きを超えため息が出る。
-もはや虫だろうととかげだろうとゴキブリだろうと無視する自分に気がつく。
-親戚のおっちゃんたちとはやはり汚い話で盛り上がる。
-アチェ人の男は「お説教」好きが多い気がする。
-宗教(イスラムやキリストや仏教といわれるような)がないと驚かれる。
-日本=(技術先進、頭が良い、インドネシア占領、皆多忙)がアチェ人の一般的日本理解
-東京外国語大学(Tokyo University of Foreign Studies、Tokyo Universitas Kajian Asing)をどうしても最後まで理解してくれない。東大と間違う確立9割。ま、ちょっとうれしいけどw
-自分はきれい好きと言いながら、村の道はゴミだらけ。道路もでこぼこ。なんかそーゆうの、村人の性格や公共サービスの欠陥ももちろんあるんだろうけど、この蒸し暑さじゃ仕方ない気もする。
-子供は無垢だ。美しいと感じる。いつも癒される。
-が、同時に彼らも人間だとも感じる。大人と子供の境界なんてないと思う。というかその定義自体怪しい。不可解だ。
-ヤギの屠殺を見ても、特に何も感じなかった。こんなもんだろーなって感じ。皮を剥いだって、頭蓋骨を割ったって、今までの知識を例証する以外の何ものでもなかった。その後も普通にヤギ肉をいただく。
-「信じる」ことの美学が、副作用を生んでいるように感じる。
-「曇りなき眼」というのは日本人特有の美学だ。もちろん「曇りなき」のフィルターを通した眼で見ているのだが。
-今更だが学問とは、そういった自分にかかったフィルターをとっていくために作られたのだと知る。ほんと今更。笑 だから知識人って戦争の度に弾圧されてきたのか。
-が、フィルターのない人間などいないと感じる。
-いかなる人間(組織や国家含め)にも左右されず、さまざまな所(地球上のあらゆる場所を指す)から多くの知識(実体験、疑似体験含め)を蓄え、それをもって考えたいと思う。それは理想だ。不可能だ。でもそれが素晴らしいと思う。
-結局、どんなに社会が発展しようと、人間は動物の一種であり、サルに毛が生えたものでしかない。これは真実だ。が、多くの人が勘違いしすぎだ、と信じる。
もみあげが消えた。この髪型を「アチェ刈り」とでも呼ぼうか。
以上。